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ゆうゆう自適。

つらつら、まったり。つれづれ(不定期)雑記帳。海風薫るロストックから伯林、そして再び東京へ。再びドイツへ「帰る」日を夢見て、今日も今日とてしゅぎょう中。
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今日も今日とてベルリーナ・アンサンブル。
ひと月前から楽しみにしていた「Einfach kompliziert」(単純に難解、でいいのかしら)!

ベルンハルトお気に入りの役者・Gerd Voss主演、ベルンハルトと親交のあったBEの総監督Claus Peymann演出の本作はものすごく人気で、ネットの前売りが瞬く間に完売。当日券を(ウェイテイングリストに名前を載せた上で)獲得するしかないということで、早めに行って並んだ。

「Einfach kompliziert」のセットは「粗末な部屋」とシンプルでありながら、冒頭にある説明(窓やドアの配置など)に忠実に再現されていて、びっくりした。こういうことって滅多にないけれど、イメージ通りの舞台が用意してあった。

あらすじも非常にシンプル。
とある粗末なアパートに引きこもった老俳優が、狂気と叡智の間を行き来する。
人とのかかわりを経った彼が唯一心を許すのは、毎週火曜と金曜に牛乳を持ってくる少女・カタリーナのみ……。

かつて、シェイクスピアの「リチャードIII世」を演じた老俳優は、造りものの王冠を被る。
栄光を極め、のちに高みから転落するイングランド王リチャードIII世の象徴。

ひとを嫌いながらも、幼い少女の来訪を心待ちにする孤独な老人。

屈折したユーモアと、深い孤独。
短い劇だけれど、ベルンハルト流のエッセンスが凝縮されている。

Gerd Voss氏の演技は圧巻。
以前、静岡で観た「エリザベスII世」もすごかったけれど、「Einfach kompliziert」のほうがより気迫を感じられた。席が近かったからかもしれない。(学割でキャンセル待ちをすると、優先的にいい席が回ってくる)

いやあ素晴らしかった。
すごく楽しめたのだけれど、唯一わからなかったのは「笑いどころ」。
「イマヌエル・カント」に続いて2回目のベルンハルト作品だけれど、未だにドイツ人が笑うポイントを押さえられずにいる。

たとえば、

「わしはリチャードIII世をデュースブルクとボーフムで演じたんだよ」

という台詞で大爆笑。NRW州出身のものとしては「おお地元」と反応してしまうけれど、会場を包んでいる笑いはその類のものではない。
かもさん曰く、「ベルリンという場所だからこそ成立しえた笑いでは」とのこと。もしかしてそうかなあ……と思いはしたけれど、やはりそうなのかしら。ウィーンの観客は、この個所にどう反応するのだろう。上演する場所によって、「笑いのポイント」が変わってくるような気がする。

「笑いの文化」?

全テクスト掲載のパンフレット(もはやカタログ級の厚さ!)も購入したので、しっかり読んで、もうちょっと考えて、専門家に訊いてみるとしましょうか。


アフタートークショーでGerd Voss氏とClaus Peymann氏が舞台裏の秘話を紹介。これもまた興味深い話だったんだけれど(どの点において、とは言わなかったけれど、やはりウィーンとベルリンでは笑いどころも含めて観客の反応が違うらしい)、夜も更けてきたので早めに退出。

いい夜でした。
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ドイツ生まれ、ドイツ育ちの「なんとなく日本人」。根っからのラインラントっこ。

日本の大学院で現代ドイツ文学を勉強中。ただいま、ドイツにて「しゅっちょう」修行の旅の途中。今やすっかりメクレンブルクの空と大地と海に心を奪われています。
夢は、日本とドイツをつなぐ「ことばや」さんになること。

深刻になりすぎず、でも真剣に。
こつこつ、しっかり、マイペース。がんばりすぎない程度にがんばります。

2010年4月-9月までロストック(メクレンブルク・フォアポンメルン州)、10月-2011年3月までベルリンに滞在。再度ドイツに留学することが、今後の目標のひとつ。

ぽつぽつと、不定期的に過去の日記を埋めていきます。


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