ゆうゆう自適。
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クリスタ・ヴォルフ著、保坂一夫訳。
原題"Kein Ort. Nirgens"。1979年出版。
一緒に収録されているギュンデローデに関する論文はまだ読み終えていません。
これはドイツ語で先に読むか、それより先に翻訳に目を通すか……。
作家ハインリッヒ・フォン・クライストと詩人カロリーネ・フォン・ギュンデローデの架空の出会いを描いた作品。
詩人たちの集うお茶会。
己の生き方、信念を貫く一方で、社会に適応できないクライストとギュンデローデ。(クライストもギュンデローデも、史実では若くして自ら命を断っています)
そのふたりがともに過ごしたひととき。
これまで読んできたヴォルフ作品の中ではもっとも難解。
語り手・クライスト・ギュンデローデと、視点がくるくる変わります。何度か読み直さないとさっぱりわからない。
翻訳は読みやすく、自分が思い描いた登場人物のイメージにぴったり!と思えるものの、やはり難しい。(ドイツ語のテクストは翻訳に置き換えると絶対に難易度があがると思う)
めちゃくちゃ手ごわいけれど、この「移ろう語り」に惹かれるのも事実。
いつかじっくり分析してみたいなあ。
翻訳『どこにも居場所はない』を中断して、先に"Was bleibt"(邦題『残るものはなにか』)を読みます。東西ドイツで物議をかもしだした問題作!
その次に読みたいのはエウリピデス『メデイア』、クライスト『ペンテジレイア』。ギリシア神話と仲良くするぞ。
ヴォルフの書く作品は良くも悪くも「まじめ一本」なので、授業中に読んでいるペーター・ハントケやカフカがいい息抜きになっています。特にカフカは超楽しい!
しかしカフカの授業は、先生が専門家さんであるために、要約を適当にやり過ごしたりするとものすごい勢いでこと細やかな訂正が入る。若干緊迫感が漂います。
でも先生が楽しそうにカフカの作品を語る様子を見ていると、こっちも楽しくなってくるのであって。そういう感覚は、決して悪くないなあと、思う。
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かれんだー
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ぷろふぃーる
日本の大学院で現代ドイツ文学を勉強中。ただいま、ドイツにて「しゅっちょう」修行の旅の途中。今やすっかりメクレンブルクの空と大地と海に心を奪われています。
夢は、日本とドイツをつなぐ「ことばや」さんになること。
深刻になりすぎず、でも真剣に。
こつこつ、しっかり、マイペース。がんばりすぎない程度にがんばります。
2010年4月-9月までロストック(メクレンブルク・フォアポンメルン州)、10月-2011年3月までベルリンに滞在。再度ドイツに留学することが、今後の目標のひとつ。
ぽつぽつと、不定期的に過去の日記を埋めていきます。