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ゆうゆう自適。

つらつら、まったり。つれづれ(不定期)雑記帳。海風薫るロストックから伯林、そして再び東京へ。再びドイツへ「帰る」日を夢見て、今日も今日とてしゅぎょう中。
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クリスタ・ヴォルフ著、1990年出版。
邦題『残るものはなにか』。

美博勤務の合間に読破。
ヴォルフの作品は長めのものが多いけれど、これは100ページとちょっと短め(しかもフォントも大きい)。

1979年3月、東ベルリン。
秘密警察に監視されている作家「わたし」の、とある一日。

秘密警察の存在によって脅かされ、壊される日常生活。
気にしないように努めるも、秘密警察の陰におびえる「わたし」。

ヴォルフの自伝的な作品として位置づけられる本作は、東西ドイツで文学論争を引き起こしたそうです。
1979年に起こった出来事を、なぜ統一後に発表したのか。東ドイツの知識人たちは、現実と戦う道は選ばなかったのか……。

ヴォルフの作品でよく見られる、自己との対話を織り交ぜたモノローグ形式は、読み手を引きつける「ちから」があると思う。
内容に関しては、『メデイア』の前身みたい、というのが率直な印象。「面白い!」というよりは「ふーん」といった感覚に近いかな。ことばは簡単だけれど、その分読み込む必要がありそう。


「祖国」に抱いていた幻想を打ち砕かれ、書くに至った『カッサンドラ』。
「声」を聞いてもらえず、「悪女」の烙印を押されたのちに手がけた『メデイア』。
その間に揺れる『残るものはなにか』。

1979年に書かれ、1989年に手直しされたこの作品は、『カッサンドラ』と『メデイア』の間をつなぐ橋のような役目を果たしているのかもしれない。


作品を読めば読むほど、視野が広がる気がする。
早く早く全集、来ないかな~。



美博勤務中、ヴォルフを読み終わったので、次にカフカの短編を手に取る。

……。

ヴォルフを読んだ直後にカフカを読むのは、あんまりよろしくないのかもしれない。
いわゆる「食べ合わせが悪い」というやつか。

超、まじめなヴォルフと、
幻想の中を軽やかに駆け抜ける(ような気がする)カフカは、

だいぶ違う、よ、なあ。
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ドイツ生まれ、ドイツ育ちの「なんとなく日本人」。根っからのラインラントっこ。

日本の大学院で現代ドイツ文学を勉強中。ただいま、ドイツにて「しゅっちょう」修行の旅の途中。今やすっかりメクレンブルクの空と大地と海に心を奪われています。
夢は、日本とドイツをつなぐ「ことばや」さんになること。

深刻になりすぎず、でも真剣に。
こつこつ、しっかり、マイペース。がんばりすぎない程度にがんばります。

2010年4月-9月までロストック(メクレンブルク・フォアポンメルン州)、10月-2011年3月までベルリンに滞在。再度ドイツに留学することが、今後の目標のひとつ。

ぽつぽつと、不定期的に過去の日記を埋めていきます。


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