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ゆうゆう自適。

つらつら、まったり。つれづれ(不定期)雑記帳。海風薫るロストックから伯林、そして再び東京へ。再びドイツへ「帰る」日を夢見て、今日も今日とてしゅぎょう中。
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HSVのサポーターたちの間を縫って、外のトラム乗り場へ。
幸い、スタジアム行きとは反対方向の電車に乗るので、ほっと一息。

フランクフルトといえば、経済の中心地としてのイメージが強いと思いますが、今回は住宅街を中心に散策しようと決めていました。お仕事半分、趣味半分。あとは友達との約束。


まずはウーヴェ・ヨーンゾンの著作から抜粋をご紹介。

Noch später war sie gefragt in jenem nördlichen Viertel Frankfurt, wo die Straßen nach Schriftstellern heißen, von Franz Kafka über Franz Werfel und Stefan Zweig bis zu Platen, da wohnten die Familien der amerikanischen Besatzer und gingen nachts aus und ließen ihre Kinder behüten von einer Miss Cresspahl für deutsches Geld... (Uwe Johnson: Jahrestage, Band 4. S. 1860)

『もっと後になってから、彼女はフランクフルト北部の地区――フランツ・カフカからフランツ・ヴェルフェル、そしてシュテファン・ツヴァイクからプラーテンまで、作家の名を冠した通りのあるかの地域で求められることとなった。そこにはアメリカ占領軍の家族が住んでいて、夜に外出する彼らは、ドイツのお金を払ってミス・クレスパールに自分の子どもたちの世話を頼んでいた……』


この「作家の名を冠した通りのあるフランクフルト北部の地区」は実在しています。ドイツで二番目に高いテレビ塔(Europaturm、通称Ginnheimer Spargel)とドイツ連邦銀行がある、Ginnheimという地区。フランクフルトには4年間住んでいましたが、一回も行ったことはありませんでした。よく使っていた地下鉄の行き先としてはしょっちゅう目にしていたんだけれど。

フランクフルトに行くならば、ミス・クレスパールが通っていた地区に行ってみなければ!と思った次第です。アーカイヴがないなら、せめて作品の舞台(回想だけど)ぐらいは見ておかないと!

土曜のお昼ということもあるかもしれないのですが、ぱっと見、とても閑静な住宅街でした。いかにも「旅人」みたいな恰好で通りを歩いて、なおかつカメラを構えるのは、ちょっとどきどきした。

ミス・クレスパールがフランクフルトで生活していたのは1950年代前半なので、彼女が通ったGinnheimは50年以上も昔のGinnheim。ずいぶん、風景も変わったことでしょう。

DSCF7591.JPG

フランツ・カフカ通り。
子どもたちがたくさん遊んでいた。

DSCF7592.JPG

プラーテン通り。(歩いてきたのはフランツ・ヴェルフェル通り)
住宅街の中をバスが通る……。

あとから知ったのですが、この"Platensiedlung"(Platen通り周辺)は移民が非常に多く集まる地域とのこと。2005年のFrankfurter Allgemeineの記事によると、さまざまな観点から、ちょっと問題の多い地域でもあるらしい。5年も前の記事だし、実際に住んだわけでもないのでなんともいえないけれど。


同じくGinnheimにアンネ・フランクの生家があるのですが、バス→地下鉄で2駅戻る必要があったので、今回は見送り。バス→地下鉄一本でSüdbahnhof(南駅)に直行!

マイン川の対岸に位置するSachsenhausenは、急成長を続けるフランクフルトの中でも時間が止まっているかのような印象を与える地区。アップルワインが名物。
ICEでフランクフルトまで南下する場合は、必ずSüdbahnhof経由で中央駅に向かうのですが、このとき見える景色が一番好きです。ランドマークはフランクフルトの地ビール・Henniger社の塔(フランクフルト空港に発着する便なら上空からも見えるはず!)、そしてホテルのホリデイ・イン。中心部でどれだけ見知らぬビルが乱立しても、ここの景色は変わらない。これらを見るたびに、「帰って来たんだ」と思う。何年経っても。

3年前、この街に「帰って」きたときと同じように。
かつての最寄り駅Südbahnhofから、かつて住んでいた家まで、歩いて「帰る」。

DSCF7594.JPG

びっくりするほどなんにも変わっていない。
いや、12年前にはなかったバス路線ができていたかな。最寄駅がひとつ、増えたことになる。(でも30分に一本しか運航していないので、歩いたほうが絶対早いと思う)

DSCF7595.JPGI'm home! Kurt Tucholsky――当時まったく縁がないと思っていたんだけれど、今や「関係者側」の人間になってしまったのだから、人生なにが起こるかわからない。
ちなみに、この街で「ドイツ文学なんか一生好きになるか」と思えるほどのトラウマを体験をしています(国語の先生との相性がサイアクだった)。そういう意味でも、今のわたしは、12年前のわたしが想像もしていなかったような道を歩んでいるということになる。

DSCF7598.JPGただいま。家は、12年前よりもずっとおしゃれになっていた。ドアノッカーがついていたり、ナンバープレートが入れ替えられていたり。こだわりのある人が住んでいるんだね。よかったね。
Platen通りの辺りを歩いていたときもそうだけれど、ここで写真を撮るのもちょっとどきどきする。(家の前で撮るわけにもいかないので遠目に……)

ここから、ランドマークを見ながらSüdbahnhofに戻る。

DSCF7602.JPGDSCF7604.JPGホリデイ・インとHenniger-Turm。
このふたつあってのSachsenhausen!

Hennigerといえばレモネードで割ったRadler(Alsterwasserと同種)が有名ですが、15でこの街を去ったわたしは、未だにHennigerのRadlerを飲んだことがない!(ドイツではビールは16歳からOK)
ちなみに、毎年、この塔の周りを走る自転車レースが開催されます。"Rad"(自転車)lerだけに。

次は、Südbahnhofからトラムに乗って、ホテルへと向かう。かつて登下校に使っていたルート!毎朝、これに乗ってマイン川を渡るのが好きだった。今回の宿は、母校にほどなく近いホテル。荷物を置いて、すぐさま街へと繰り出す。友達に会う時間が近づいている!

DSCF7607.JPGフランクフルトの中心地、Hauptwacheへ。駅から出ると、真っ先に目に入るのがこの聖カタリーネン教会でしょうか。フランクフルトにやってきたハイジは、アルプスを見ようとこの塔にのぼったのです!
友達との待ち合わせ場所は、教会の正面にあるデパートKaufhof。辺りをきょろきょろ見回して、もしや……と思った矢先に、気になった人物が動いた。ビンゴ!6、7年ぶりでもすぐにわかるもんだ。よかったよかった。

目抜き通りZeilに新しくできたショッピング・モールMyZeilを紹介してもらったり、大改装中のZeilgallerieの展望台にのぼって街を一望したり。
博物館が並ぶMuseumsuferでは年に一度の盛大なお祭りが開かれていたので(実は一度も行ったことがない!)、催し物を見ながらマイン川沿いをお散歩。途中、大雨に降られたけれど、しばらくしたら止んだし、問題なし。最後はオーストラリアン・スポーツバーで食事をして解散。

たくさんお話できて、楽しかった!あっという間に時間が過ぎてしまったよ。
中等部時代の話に、花が咲いた。こんなにたくさんの思い出が、ここにはちゃんとあったのね。ちょっと忘れていた。でも、今、思い出した。すごく大事なことを。

フランクフルトは「住む街」としてはあんまり人気がないような印象を受けることがあるけれど、わたしはこの街が好きだ。それは、ここに楽しい思い出がたくさん残っているからかなとも思う。

12年の歳月の中で、美化されていることもあるかもしれない。それでもいいよ。それでもきっと、この街が好きなことには変わらないと思うんだ。



ちなみに、Eintracht FrankfurtはHSVに1:3で負けたそうです。
前半1:0で終えたというのに……!

しっかりしてよお、Eintracht!
せっかくチームカラー(赤と黒)が格好いいんだから!

まあ、それでも街中やかましくなくてよかった。
これでEintrachtとHSVのサポーターがわーわー騒ぎだしたらたまらない。


それにしても。
3部リーグのロストックはもとより、ベルリンも2部リーグなので、生活上は1部リーグとは縁遠そうだなあ。フランクフルトに対して地元愛はあるけれど、別にEintrachtにそれほどの思い入れはない。

わたしが住んでいた時期は1部→2部降格になって、盛り上がりに欠けていたからかなあ。(引っ越した途端に1部に復帰した。あはは)
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ドイツ生まれ、ドイツ育ちの「なんとなく日本人」。根っからのラインラントっこ。

日本の大学院で現代ドイツ文学を勉強中。ただいま、ドイツにて「しゅっちょう」修行の旅の途中。今やすっかりメクレンブルクの空と大地と海に心を奪われています。
夢は、日本とドイツをつなぐ「ことばや」さんになること。

深刻になりすぎず、でも真剣に。
こつこつ、しっかり、マイペース。がんばりすぎない程度にがんばります。

2010年4月-9月までロストック(メクレンブルク・フォアポンメルン州)、10月-2011年3月までベルリンに滞在。再度ドイツに留学することが、今後の目標のひとつ。

ぽつぽつと、不定期的に過去の日記を埋めていきます。


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