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ゆうゆう自適。

つらつら、まったり。つれづれ(不定期)雑記帳。海風薫るロストックから伯林、そして再び東京へ。再びドイツへ「帰る」日を夢見て、今日も今日とてしゅぎょう中。
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クリスタ・ヴォルフ著、1996年出版。

はじめて読んだ「東西ドイツ統一後ヴォルフ作品」。
”Kassandra”同様にギリシア神話(およびエウリピデス『メデイア』)をベースとしていて、それにヴォルフ流改変が加えてある。

イアソンとアルゴー号。金羊毛。魔女メデイア。
ちらほらと耳にしたことはあったけれど、詳細は知らなかった……ので、これを機にお勉強。



ギリシア神話、およびエウリピデス『メデイア』によれば、コルキスの王女メデイアは、自分を捨ててコリントスの王女グラウケを娶ろうとした夫・イアソンに復讐をする。

グラウケとその父クレオンを殺して。イアソンとの間に生まれたふたりの息子をも殺して。
メデイアは、コルキスを去るとき、幼い弟も手にかけたという。

ヴォルフの"Medea"では、メデイアは無実であるにも関わらず、コリントスの政治的謀略によって弟殺し・子殺しの罪を着せられてしまう。
Stimmen――異なる立場にある人々の「声」、すなわち語りにより進められる物語は、モノローグ形式の"Kassandra"とも違ってなかなかおもしろかったです。


でもなあ。"Kassandra"ほどの強烈なエネルギーは、感じられないんだよなあ。
構造は興味深いけれど、ストーリーとして純粋におもしろいかというと、……ううん。もーうちょっと。

登場人物のインパクトが、どうも薄い気がする。
そもそもメデイア神話をここまで大胆に(=メデイアは悪女ではない!)読みなおそうということ自体に無理があるんじゃないかと思うけれど(こじつけじゃないー?)、……今後の課題です。

政治とフェミニズムと無関係ではいられなくなってきたので、こつこつ勉強しよう。


次は"Kein Ort. Nirgens."(1979)を邦訳『どこにも居場所はない』で再読する予定。
早くヴォルフの全集、届かないかなあ。うずうず。

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ドイツ生まれ、ドイツ育ちの「なんとなく日本人」。根っからのラインラントっこ。

日本の大学院で現代ドイツ文学を勉強中。ただいま、ドイツにて「しゅっちょう」修行の旅の途中。今やすっかりメクレンブルクの空と大地と海に心を奪われています。
夢は、日本とドイツをつなぐ「ことばや」さんになること。

深刻になりすぎず、でも真剣に。
こつこつ、しっかり、マイペース。がんばりすぎない程度にがんばります。

2010年4月-9月までロストック(メクレンブルク・フォアポンメルン州)、10月-2011年3月までベルリンに滞在。再度ドイツに留学することが、今後の目標のひとつ。

ぽつぽつと、不定期的に過去の日記を埋めていきます。


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