ゆうゆう自適。
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Jahrestageの主人公、Gesineは言う。
「Fischlandはこの世界で一番うつくしい場所だ」と。
「Fischlandのてっぺんに立ったことがある人は、知っている。潟の色と海の色が、どちらも毎日違うということを、そして互いに異なることを」とも。
この世界で一番うつくしい場所、を求めて。
Fischland-Darß-Zingst半島に行ってきました。
まずはロストックからシュトラールズント方面の快速電車(RE)に乗って、Ribnitz-Damgarten Westへ。
たった20分の距離なのに、REが2時間に一本しか走っていないのはイタイ。
Ribnitz-Damgartenからはバスに乗る。
バスの後方には、自転車を乗せるための荷台がついていた。Fischland-Darß-Zingst半島は、サイクリングにはもってこいの場所らしい。
重たい瞼をこすりながらぼんやりとRibnitz-Damgarten の街並みをながめていたら、数分後にいきなり景色が変わって仰天。大地が、平たい。地平線の延長に、そのまま水面――潟が、見える。あれがSaaler Boddenか!
Fischlandの海を見ずとも、潟の色が違うことがわかる。これは見なくちゃ、もっともっと近くで見なくちゃ!
目的地は、JahrestageでGesineが夏休みを過ごしたAhrenshoopという一帯なのですが、いきなり中心部ではなく、あえて2駅前のNiehagenで降りることにしました。歩いて30分くらいの距離ということで、街並みを見ながらのんびりとAlthagen経由でAhrenshoopに行こうかなと思っていたのですが、左手に広がっていた麦畑に吸い寄せられて、すうっと横道に入ることに。
空が高い。青い。広い……。そして目の前には、どこまでもどこまでも続く麦畑。自分の中で、かちっとスイッチが入ったような気がした。この景色だ。思い描いていたメグレンブルクの景色だ!やっと見つけた!
しばしぼうっとしてから、再び小道を歩く。遠く、遠くにうっすらと青い「なにか」が見える。海かな?方角的には海のはず!
林道を抜けて視界が開けると、そこには信じられない景色が広がっていた。絶壁の下に、海が見える。バルト海。………。
色がちがうよ。
いつもの淡々としたブルーグレーじゃない。
鮮やかなコバルトブルー。エメラルドグリーン。
そのグラデーション。すごく綺麗。
しかし、しかし、波がかなり荒いので、「愛想のいい」感じはこれといってしない。ここはやはりバルト海。
それにしても知らなかった。バルト海にはこんな表情もあるんだなあ。この視線の先に、ヴァルネミュンデがある。海はつながっているのに、見える景色はこうも違う。
奇しくもここがFischlandのてっぺん、das Hohe Ufer(高い岸辺)。
ここに立ってわかった。
潟の色と、海の色はたしかに違った。
今、目の前のバルト海がいつもと違って見えるのは、その表情が毎日違うからなのかもしれない。
絶壁から浜へと続く階段が通行可能だったので、降りてみました。
ドイツで浜辺を歩くのは、今回がはじめて。ここの波は本当に荒くて、砂浜を洗い流さんばかりの勢い。ときどき足元をすくわれそうになる。
このままずっとずっと浜辺を歩いて行ったら、Ahrenshoopまでたどりつけるのだけれど、足場があまりに不安定なので断念。いっそ、靴も靴下も脱いで、裸足のまま歩いて行けばよかったのかな。
これがメクレンブルクの空。海。大地。
一番!と言い切る自信はないけれど、でも、
「ここが世界で一番うつくしい場所だよ」と言われたら、反論できない気がする。
お守りに、これだ!と思った石をひとつ、お持ち帰り。
せっかくだから崖っぷち(といってもちゃんと道はある)を歩くか、とそのまま海岸線に沿って進む。海が見えなくなったところで、適当に横道に入って、もともと歩くつもりだった車道に出た。ありがたいことに一本道なので、歩いているだけでAlthagen、Ahrenshoopを通過。
このあたりでお昼を取らないと、更に先のDarßやZingstまでなにもない気がひしひしとする。しかしまだ12時、まだちょっと早いかな?ということで、潟を見ながら歩いて、適当なところでぐるっとUターンすることに決める。
麦畑、草原の先に見えるはSaaler Bodden。どこまでも続く一本道を歩いているうちに、少しずつ、少しずつ、水面が近づいてくる。刻々と変化する、目の前に広がる風景。どんなにがんばっても、この情景を「切り取る」ことはできない。
荒涼としていたバルト海と比べると、この潟は本当に穏やかで、同じ海の水を見ているとはとても思えない。淡いブルー。きらきら輝く水面がうつくしい。
さて、この景色を見ながらてくてく麦畑と草原の間を歩いているわけですが、この道が文字通り果てしない!自転車ユーザーが颯爽と通り過ぎていく中、ひとりもくもくと歩く。歩く。歩く……。
舗装された道ではなく、砂道、砂利道というのも結構しんどい。意外と足に負担がかかっていたらしく、くたくたな靴下が片方、音をあげました。左の足の裏がひりひりと痛く、あれ、そんな変な歩きかたしていたかな……と思っていたら、靴ずれを起こしていました。でっかい水ぶくれが!あー、くたびれた靴下には早々に引退してもらわないとダメですね。はう。
そうこうしているうちにUターンするタイミングを完全に逸し、このまま直進するか、来た道をそのまま引き返すかの二択を迫られることに。いや、同じ道は無理!いくら景色が綺麗でも同じ道は無理!ということで、気合いを入れて先に進む。次のポイント・Bornまで行けばなんとかなるんじゃないか。ゆっくりお昼を取るとか。そこからバスに乗って帰るとか。そんな希望を抱いて。
結論:なんとかなりませんでした。
人を見かけたのはせいぜいキャンピング広場くらいで、街中は閑散としていた。お店ないよ?ペンションと民家しかないよ?バス停でさえ、どこにあるかわからない。あああ。なんてこった。
その代わり、茅葺屋根のおうちをたくさん見かけました。雰囲気は全く違うとはいえ、五箇山を思い出すなあ。きゅーとです。
きゅーとなんだけれど、なごんでいる場合でもない。おなかすいた。このままここにいても帰れそうな気配はゼロ。DarßとZingstの中間点までは15キロ、この左足の状態で、もうそんなには歩けない。(ガイドブックには「FischlandからZingstまではハイキングに最適!」って書いてあったんだけど、たぶん、距離にしてみると40キロくらいあるよなこれ……)
これはもう、Ahrenshoopまで戻るしかないか、と覚悟を決める。ただせめて、違う道を通って帰りたい。はじめは車道を歩いて行こうと思ったのだけれど(一番わかりやすいから)、どうも歩きづらい感じがするのと、明らかに遠回りである気がしたので、途中で行きとは違う麦畑ルートに入った。今度は潟が見えず、景色もほとんど変わらないので、ちょっと精神的にキツイ。ここまで来ると修行だな。
「Ahrenshoopまで7キロ」の看板が更に追い打ちをかける。
全部トータルすると、図らずも20キロ近く歩くことになるのか。
なんかいろんなことをぼんやり考えながら歩いた気がするんだけど、なにを考えていたのかさっぱり覚えていない。長い長い道と、麦畑と、風力発電システムしか記憶にない。
どうにかAhreshoopまで戻って、恒例(?)のお魚サンドで腹ごしらえをすることに。今回はサバのサンドをオーダーしてみました。サバの燻製!おいしかった!
その後、バスに乗ってRibnitz-Damgartenまで戻る。
電車が来るまで一時間ほどあったので、ちょっと港のほうに足を延ばしてみました。
というわけで予告。
いずれRibnitz-Damgartenで会いましょう。
Fischland最高だったー!
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かれんだー
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ぷろふぃーる
日本の大学院で現代ドイツ文学を勉強中。ただいま、ドイツにて「しゅっちょう」修行の旅の途中。今やすっかりメクレンブルクの空と大地と海に心を奪われています。
夢は、日本とドイツをつなぐ「ことばや」さんになること。
深刻になりすぎず、でも真剣に。
こつこつ、しっかり、マイペース。がんばりすぎない程度にがんばります。
2010年4月-9月までロストック(メクレンブルク・フォアポンメルン州)、10月-2011年3月までベルリンに滞在。再度ドイツに留学することが、今後の目標のひとつ。
ぽつぽつと、不定期的に過去の日記を埋めていきます。