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ゆうゆう自適。

つらつら、まったり。つれづれ(不定期)雑記帳。海風薫るロストックから伯林、そして再び東京へ。再びドイツへ「帰る」日を夢見て、今日も今日とてしゅぎょう中。
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旧東ドイツ文学の在りかたについて問う、という趣旨の学会に顔を出してきました。
今日から3日間。その間、授業には出られないけれど、このようなアカデミックな催し物が多いのもベルリンならでは。機会があれば、どんどん参加したい。

しかしまあ、これでもか!というくらいぎゅうぎゅう詰めになったプログラムで、10時から18時まで、休憩が2回しか入らないぶっ続け状態。いわゆる大御所の発表+質疑応答が延びるに延びて、気がつけばお昼休みが大幅カット。途中の休憩も15分のみ……。暖房ががんがんに入っているせいかホールの空気も悪いし、時間の経過とともに集中力がどんどん低下。

これはキツイ。

初日は旧東独(DDR)文学というジャンルについて、の議論がメイン。
DDR文学はどこへ行くのか?そもそも、DDR文学というジャンルは今後も存在しうるのか?

「ドイツ文学史」という流れの中にDDR文学がどのように組み込まれていくのか、について考えることは、たしかに重要。10年前の国語教育ではノータッチだったけれど、今は少しは変わっているんだろうか。


後半ではクリスタ・ヴォルフの新刊『天使の街』Stadt der Engelについての議論も。お、今一番ホットなところじゃない?と楽しみにしていたのだけれど、聴いてみたらがっかり。始終「ドイツ再統一から20年経った今でもDDRに幻想を抱き続けているなんて信じられない」というトーンで議論が展開されて、げんなりしてしまった。
ヴォルフが過去に、かつてのDDRに今もとらわれているという点はたぶん(新刊をまだ読んでいないので断定できない)間違っていない。でも、この作品を(その要素は十分すぎるくらいにそろっているとしても)はじめから「自伝的小説」と決めつけて、「語り手・わたし=ヴォルフ」とすることも疑問に思うし、「上から目線」で論じることに至っては納得がいかない。擁護するわけじゃあないけれど、彼女本人の生き方そのものを「断罪」するのはわれわれゲルマニストの仕事じゃない。

それこそWessi(西ドイツ人)の傲慢じゃないの?
旧東ドイツについて研究しているはずなのに、結局、根っこの部分までわかろうとしていないんじゃないのかな……。

わたしだって、まだわからない。語れるほどものを知らない。くやしいなあ。

あー、なんか自分の修論(見下してはいないけれど一方的議論な点はまさに同じ)を思い出して、もやもや2割増し。ヴォルフはむずかしい。ほんとにむずかしい。今の自分ではまったく歯が立たない。
でもいつか、いつか絶対、こういった一方的な議論にも太刀打ちできるように、なる。なってみせる。どれだけかかるかわからないけれど、修論を「清算」するまでは終われない。


まずは、あと2日!がんばる!

ひさしぶりにロストックのお師匠と対面できたのはうれしかった。
前回会ったときから進捗状況が変わっていないというのが致命的。あああ。


ときどき「ドイツ語圏文学」ということばでドイツ文学、オーストリア文学およびスイス文学をまとめて指していたけれど、よく考えるとこの表現も問題あるよね。

オーストリアもスイスも、自国のことばに誇りを持っているのであって、そこで勝手に「ドイツ語圏文学」ってまとめられたらきっと怒ると思う。いや、大枠としてはいいのかもしれないけれど、ちゃんと「オーストリア文学」「スイス文学」っていわなくちゃ。反省。

その意味では、旧東独の文学は「DDR文学」でいいはずなんだけれどね。
西ドイツと、「違うことば」で執筆していたのだから。


考えよう。じっくり。
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ドイツ生まれ、ドイツ育ちの「なんとなく日本人」。根っからのラインラントっこ。

日本の大学院で現代ドイツ文学を勉強中。ただいま、ドイツにて「しゅっちょう」修行の旅の途中。今やすっかりメクレンブルクの空と大地と海に心を奪われています。
夢は、日本とドイツをつなぐ「ことばや」さんになること。

深刻になりすぎず、でも真剣に。
こつこつ、しっかり、マイペース。がんばりすぎない程度にがんばります。

2010年4月-9月までロストック(メクレンブルク・フォアポンメルン州)、10月-2011年3月までベルリンに滞在。再度ドイツに留学することが、今後の目標のひとつ。

ぽつぽつと、不定期的に過去の日記を埋めていきます。


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