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ゆうゆう自適。

つらつら、まったり。つれづれ(不定期)雑記帳。海風薫るロストックから伯林、そして再び東京へ。再びドイツへ「帰る」日を夢見て、今日も今日とてしゅぎょう中。
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つい、昨日までドイツにいた。
今は、1万キロ離れたところにいる。


会いたい、
と思ったときにひとに会ったり、

話したい、
と思ったときに電話をかけたり、

触れたい、
と思ったときに手を伸ばしたり……


そんな簡単なことが、今はできない。
つい昨日までの現実が、すっと指の間からこぼれていくみたい。

今、自分はどこにいるんだろう?

それすら、なんとなくわからない、
地に足がついていない、
そんな感覚……。
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ベルリンから成田への旅は、退屈ではなかった。


まず、コペンハーゲン行きの飛行機が35分遅れた。
コペンハーゲンでの乗り換え時間がそもそも50分しかないのに、35分遅延って……。

「成田便は待っていてくれるんですか?」の問いに
「待っていなかった場合、1時間後の便に振り替えますので」と答えたスタッフ。

いやいやいやいや、
ちゃんと予定通りの便に乗せてください。


コペンハーゲンには、きっかり35分遅れでついた。
ゲートの変更があり、指示に従って進もうとすると

「お客さま最後のお呼び出し」がかかった。日本語で。
もしやと思ったら、案の定名指しでの呼び出し!

これはまずい、このままじゃあ置いていかれる。

なりふり構わず、空港内を走りぬけた。
旅立ちをかみしめる暇なんてない。

走って走って走って

こういうときに限ってゲートが遠い!

SASの地上スタッフの姿が見えたときは、本気でほっとした。

トランジットの時間が短いので、荷物が届く可能性は低いと言われた。
あああ、リスボンの悪夢が……。


飛行機は、想像していたほどガラガラではなかった。
空席は目立つけれど、それなりに乗客はいる。外国人も、たくさん。

わたしが座っていた列は空席が特に多かったので、通路を挟んで隣に座っていたひとが席を空けてくれ、ゆったり足を伸ばすだけのスペースを確保できた。エコノミーでこんなにのびのび座れたのはじめてかも。

あとで知ったのだけれど、当初わたしの隣に座っていたひとはハカセ(仮)の友達だった。
実は、昨年同じゼミに参加し、のちに講演会後の飲み会でお話したらしいのだけれど、きれいさっぱり記憶から抜け落ちていた……うあああごめんなさい!ごめんなさい!


「The King's Speech」が映画のプログラムに入っていた。
やったー、これ観たかったんだよね!

英語だとノイズが邪魔して聞き取りに集中できないので(言い訳)、ドイツ語音声で観た。
ときどきOVに変えたけれど、こっちのほうがやっぱりいいな……。これから観る予定のひとは、ぜひオリジナル・バージョンでご堪能ください。

「Toast」では意地悪で料理上手な継母、「The King's Speech」では大らかな王妃(のちのクイーン・マザー)を演じたヘレナ・ボナム=カーター。イメージががらりと変わって、おもしろかった。


翌4月1日、無事に成田着。

ただいま!
「信じる」ということも、またひとつの強さなんだろう。


自分を信じてくれるひとのために、わたしもまた、信じる。
その想いが、しなやかな強さになりますように。
自分にはなにが見えているんだろう、と相変わらず考えている。

東京は今のところだいじょうぶだよ、と言って周囲の人たちを安心させようと努めてきたけれど、それは結局「東京」という(比較的)安全な場所から物事を見ているに過ぎないのかもしれない。

メディアが宮城や福島、東京に重点的にスポットを当てていて、他の地域――茨城や群馬、栃木――の状況がその陰に隠れてしまっているのには気がついていた。それでも日本に戻ることに対して大きな不安を抱かずにすんでいるのは、「東京」に帰るからなのか……。

日本が大変なときに海外にいる自分を後ろめたく思ったこともあるけれど、
まさか東京に帰ることに対して罪悪感を覚えることになるとは、思ってもみなかった。


20年間、ドイツの地方都市で暮らしてきたけれど、首都(ボン、そしてベルリン)に住みたい!と思ったことは特になかった。今いる場所で、自分の世界は満たされていたから。
ロストックは、これまで自分が生活してきた街の中ではもっとも小ぢんまりとした街だったけれど、それでも日常生活を送る上で困ることはなかった。地方分権化の強みなのかなと思う。

ドイツのメディアだったら、「ベルリンはだいじょうぶです」なんて絶対言わないだろう。


ドイツでは地方分権色に染まっているくせに、日本に帰れば「東京中心主義」に傾いてしまっている……のかもしれない。無意識のうちに、傲慢かつ鈍感な態度に出てしまっているのかも。
考えても仕方のないことなのかもしれないけれど、ついつい考えてしまう。難しいな。もっと、いろんなものが見えるようになりたいのに。まだまだ、自分の視野は狭い。

地震が発生してから一週間。

「自分はどこに帰属しているのだろう」

そう、考えることが多くなりました。

日本は遠い。あまりに遠い。現実が見えない。
ドイツでは、報道のありかたやドイツ人の反応に違和感を覚えている。こちらもやはり現実が見えない。

日本との物理的な距離と同じくらい、ドイツとの精神的な距離があるような気さえする。


故郷とはなにか。自分はなにものなのか。
騒動のさなかに、ふと、考える。漠然と。

ときどき、「日本人であることを誇りに思う」ということばを聞きます。
まず、これがぴんと来ない。

亡くなった方々の冥福を祈るとともに、事態が一日も早く終息に向かうことを願ってやみません。

原発に残って作業している方々、
つらい境遇の中、懸命に生きる被災者たち、

彼らに、勇気づけられています。希望はまだ残されているのだと。
だからといって、自分が「日本人であることを誇りに思う」という発想にまでは至らない。

毎日毎日、たくさんのドイツ人が、日本のことを心配してくれています。
それは、とてもありがたいこと。

だからといって、「日本は愛されている国」としみじみすることもない。
そもそも、この地震を通じてどうして「日本人でよかった」になるのかがわからない。


それはおまえがドイツで育ったからだよ、半ばドイツ人だからだよと思うひともいるかもしれません。
いいえ。わたしはドイツ人ではない。どんなにがんばったって、わたしはドイツ人にはなれない。

たぶん、日本人にもなれない。
「ひとつの国に帰属している」という意識が、そもそも欠落している。


それは不幸なのか。
そうも思わない。

だからこそ、見えてくるものだってある。


幼いころからいろんな場所を転々としてきたけれど、その都度「住めば都」と思ってその場所をすきになった。そしてそこ去る間際に、「故郷」と認めた。その繰り返し。

たくさんの場所で暮らした。たくさんの場所を、愛した。
住んだことのある街は、すべて「故郷」になった。

ロストックも。ベルリンも。

今いる場所が、わたしの「ふるさと」になる。
受け入れさえすれば、どんなところだってすきになれる。

帰る場所。それは、帰ることのできる場所。


日本も、ドイツも、楽園なんかじゃない。
いいところもあれば、悪いところもある。
今回、この地震を通してそれがはっきりと見えた。

それでも、日本もドイツもすきだ。
それでいい。

仮に今後、違う場所に移り住んだとしても、その場所を思いっきり愛せばいい。
いいところも、悪いところも、ぜんぶひっくるめて。
だって、そのほうが楽しいでしょう?


わたしは、わたし。
それ以外のなにものでもない。
国籍の上では日本人だけれど、それだけだ。

そして今のわたしには、日本でやるべきことがある。だから「帰る」。
やるべきことを終えたら、また、ドイツに「帰って」くる。

そう、決めていたんだ。

くよくよしている暇なんて、ないでしょう?

かれんだー

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ドイツ生まれ、ドイツ育ちの「なんとなく日本人」。根っからのラインラントっこ。

日本の大学院で現代ドイツ文学を勉強中。ただいま、ドイツにて「しゅっちょう」修行の旅の途中。今やすっかりメクレンブルクの空と大地と海に心を奪われています。
夢は、日本とドイツをつなぐ「ことばや」さんになること。

深刻になりすぎず、でも真剣に。
こつこつ、しっかり、マイペース。がんばりすぎない程度にがんばります。

2010年4月-9月までロストック(メクレンブルク・フォアポンメルン州)、10月-2011年3月までベルリンに滞在。再度ドイツに留学することが、今後の目標のひとつ。

ぽつぽつと、不定期的に過去の日記を埋めていきます。


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