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ゆうゆう自適。

つらつら、まったり。つれづれ(不定期)雑記帳。海風薫るロストックから伯林、そして再び東京へ。再びドイツへ「帰る」日を夢見て、今日も今日とてしゅぎょう中。
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ベルリナーレの映画週間、ラストを飾るのはイタリア映画「Gianni e le donne」。「ジャンニと女性たち」。
 
50代初頭にして早期退職したジャンニ。年金と母親の財産を糧に、暮らすこと10年余り。母親の散在癖も手伝って、今や財源は尽きようとしている。妻や母親には、こき使われるばかり。そんなジャンニの慰めは、犬の散歩と綺麗な女性との出会いだけ……。
 
監督・主演、ジャンニ・ディ・グレゴリオ氏。
登場人物と役者の名前は一致。親もどうやら実母である模様。
 
ジャンニと、女性たち。
 
「とても深刻な事態なの」と母親に電話で呼び出されては、テレビ(ガタガタ)の修理に駆り出される。
妻には、「どうせほかにすることもないでしょ」とIKEAに行ってカーテンを買ってくるように言いつけられる。
次々に登場する美女たち(友人を通じて知り合った双子の姉妹、母親の友人の娘、昔の彼女、階下に住む隣人……)にふらっとなびくけれど、ジャンニの望みが成就する気配はこれっぽっちもない。それ以前に、チャンスがない。女性たちにモテモテな自分を夢想するジャンニだけれど、むしろ女難の相が出ている!
 
 
脇役の皆さんも個性的。
友人の弁護士、娘の彼氏、近所で日向ぼっこをしているおじさんたち……それぞれにいい味を出しています。
 
シュール、かつユーモラス、かつセンチメンタル。
おもしろいけれど、ちょっぴりビターな後味。
 
 
英訳は「The Salt of Life」。
最初「ええ?なんでそんな訳になるの?」と思ったものだけれど、映画を観終わった今、なんとなく納得。塩味、ビターチョコレート?「Submarine」とは異なる、一味違った大人向けのコメディという印象。
 
抱腹絶倒もののコメディを想定していたので、いい意味で期待が裏切られました。こういうテイストのものも、いい。
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貧乏性・YuNはここぞとばかりに映画館に走ります。
今日も午前中に映画館の列に並んで当日券を入手。今回はフランス映画「Tomboy」です。
 
Tomboy、すなわち「おてんば娘」。
これは、男の子になりたいと願った女の子の物語。
 
引っ越し先で知り合った少女・リーザに名前を尋ねられ、とっさに「ミカエル」と性別を偽ってしまったローレ。その日から、ローレは「男の子としての自分」を意識するようになる。夏休みの間、ミカエルとして近所の子たちと親しくなるローレ。しかし、新学期は目前に迫っていた。そして、リーザとの距離もどんどん縮まって……。
 
とても繊細で、細かいところまで丁寧に作りこまれた映画。


(ここからネタバレ)
 
ちょっと引っ込み思案のローレが、ミカエルになることでどんどん変わっていく。新しい自分を発見する。その一方で、自分が(身体的に)男の子になれないことも思い知らされる。友達と泳ぎに行く際には水着を切って海水パンツを即席で作り、男の子になりきるために粘土でペニスを作って水着に忍ばせる。断ることも可能だっただろうに、ローレは必至で男の子になりきろうとする。
 
そして、リーザとのキス。
 
新学期になれば「ローレ」として学校に行かなければならないので、正体がばれるのは時間の問題だったのだけれど、どうやって終わるのだろう……とはらはらしながら観ていました。
 
「あなたはなんていうの?」ではじまった、「ミカエル」とリーザの友情。ローレが正体を明かしたあとに、リーザはもう一度問う。「あなたはなんていうの?」ローレ、と答えたところから、ふたりの友情は新たにはじまる。とてもうつくしいラスト。
 
(ここまでネタバレ)

 
ローレ/ミカエル役のZoé Héranが中性的で、ハマリ役。「ミカエル」のときは男の子のように見えるのに、ワンピースを着た姿は女の子そのもの。容姿も性格もローレと正反対の妹・ジャンヌもかわいい!
 
土壇場になってから観ようと決めた作品だったけれど、行ってよかった。日本で公開される日が来るのかはわかりませんが(ハリウッドものばかりでなく、こういう映画ももっとたくさん日本で公開してほしい)、オススメです。
イギリス映画「Submarine」を観に行ってきました。
火曜日、2時間超並んで入手したチケット。お目当ての「Toast」が完売していたために、急遽(ちょうど前日にあらすじに目を通していた)「Submarine」に変更。

過剰な期待はせず、行ってみたところ……

これが、すごくおもしろかった。


ティーンネージャー・オリヴァーの世界は、愛と夢と妄想でいっぱい。

母を隣人(初恋相手でスピリチュアル・フリーク)の魔の手から救わなくてはならない、
ずっと水面下にいるような心持ちの父を癒さなくてはならない、
気になるクラスメイト・ジョルダーナを誘惑しなくてはならない……

これだけだと、単なる「思春期男子の勘違いと暴走」なのかと思いがちだけれど、個性的な登場人物たちがストーリーを痛快に彩る。
とりわけ、主人公のオリヴァー。好きな女の子に気に入られようと、母の浮気(および両親の離婚)を阻止しようとあの手この手でがんばるけれど、ぜんぶどこかズレている。それでもめげない。何度、画面に向かって「この愛すべきおばか!」と言いたくなったことだろう。(どこか『クレヨンしんちゃん』をほうふつとさせるような……)

(ここからネタバレ)

「プロローグ」「Part 1, 2, 3」「エピローグ」と映画を章立て仕様に分割する手法、音楽の使いかた、夢か現か、あやふやな境界線……本当に目が離せない100分弱。上映中、映画館はずうっと笑いに包まれていた。
ここまで過激ではないけれど、こういう愛と夢と妄想にあふれた次期って、誰にでもあるんじゃないだろうか。「ええっ」と驚く一方で、「ああ、なんかわかるなあこういうの……」としみじみ思ったりもした。


自分が死んだら、みんな哀しむんじゃないだろうか、とか
この子とつきあったら、どんなふうに毎日を過ごすんだろう、とか
突然両親が離婚したらどうしよう、とか、

一度は考えたこと、ありませんか?
「なにも変わってほしくない、このままがいい」と願ったことは、ありませんか?


プロローグからエピローグまで通して観ると、オリヴァーがさまざまな出来事を通して、少しずつ大人になっているのもわかる。そうか、これは子どもから大人への成長を描いたはなしでもあるのね!と納得。相変わらずずれているんだけれど、後味すっきり、余韻を残す感じのラストがなかなかすてきでした。

(ここまでネタバレ)

これ、DVD化されたらほしい!


今のところ、ベルリナーレでイチオシの映画です。
明日も明後日も、1本ずつ観る予定。フランスものと、イタリアもの。当日券を手に入れるために、明日もまたまた早朝から並ぶ!

日本に戻ったら映画を観る機会が減ると思うので(日本の映画館って高すぎて、わざわざ足を運ぼうっていう気がなくなる……)、今のうちに「観だめ」をしておこうと思います。ドイツ/日本で観るチャンスが少なさそうな映画狙い。
原題「Bizim Büyük Çaresizligimiz」。

9時半開始だったので、9時少し前から当日券を求めて列に並んだ。
劇場の入り口付近で、チケット売り場は別のところにあることが判明。幸い、すぐ隣の建物だったので、急いで移動してそちらの列に並びなおし。30分しか時間がなかったから、入れるかどうかひやひやした!

しかし、早起きは三文の徳。無事にチケットを入手、出遅れたにも関わらずよい席にもつけました。


チェティンとエンダーは幼なじみ。切っても切れない仲のふたりは、アンカラでルームシェアをしながら暮らしている。ある日、ベルリンで暮らしている友人からふたりに連絡が入る。両親が交通事故で亡くなり、残された妹・ニハルの面倒を見てほしいという。ニハルを引きとり、彼女に父親のような気持ちで接するチェティンとエンダー。やがてふたりは、それぞれニハルに恋をする……。
 
トルコの日常/人間模様を描いた映画。ファティ・アキン作品のように、トルコの伝統や文化、社会問題が取り挙げられているわけでもない。舞台がほかの国であっても成立し得た題材です。それが逆に新鮮だった。
 
 
(ここからネタバレ)
 
チェティンとエンダーは、どちらもニハルへの恋心を自覚するや否や、お互いに胸の内を打ち明け合う。そして、若いニハルの気持ちを配慮して、自分たちの気持ちを告げないという結論に達する。それぞれにニハルを愛しいと思うのに、動かない。また、チェティンとエンダーの仲に変化が起こるわけでもない。
ふたりの「大人の男」の気持ちを察してまんざらでもなさそうだった当のニハルは、ボーイフレンドの子どもを妊娠、堕胎し、一身上の都合で兄のいるベルリンに行くことになる。
 
 
ニハルを間に挟んでも、決して揺らぐことのなかったチェティンとエンダーの友情。最後に残るのは愛か、それとも友情か。そんなことをぼんやりと考えてみたり、する。なにせ「大人の男ふたり」の好意を巧みに感じ取るニハルは、一方でボーイフレンド(明確になるのは後半に入ってからだけれど、その存在は冒頭から見え隠れしている)ともよろしくしている「小悪魔」!愛、すなわち性愛はまやかしでしかないのか?そんなことを、ぼんやりと考えてみる。

(ここまでネタバレ)

「おじさん」ふたりが、本当にかわいいのです。
 
 
この映画は「ヨーロッパ一の規模を誇る」と謳っているFriedrichstadtpalastで観たのですが、さすがにスケールが大きかった!一番後方の席について、ようやくスクリーンがすんなりと観られるくらい。映画と併せて、新感覚でした。

ベルリナーレの目玉作品のひとつだったのか、前売りの段階で全日程のチケットが完売。
当日券ですら入手しづらいのでは、と思っていたものの、ダメモトで行ってみる価値はある!ということで、「Eighty Letters」鑑賞後、該当の映画館へ。隣の駅だし、チケットが取れなくても痛手ではない。

なんと、1枚だけ残っていました!

夜22時からの上演だったので、一回帰ってまた出てくる必要はあるけれど、それでも観たい!ということで、即購入。残数が2、3枚だったら、友達も誘えたんだけどなあ。

そんなわけで、ひとりで行ってきました。
会場はAlexanderplatzからひと駅東へ行ったSchillingstr.にある映画館、International。カール・マルクス通りに来るたびに「ああ東ドイツだな」と思うのだけれど、この映画館はなんとバウハウス・スタイルの建築。内装もとてもきれいで豪華だった。


60年代のイギリス。

少年ナイジェルは料理、それも調理のほうに大変関心を持っていた。母親が料理上手ではなかったことにも一因があったのかもしれない。本を片手に、新しい料理に挑戦しようとする息子を、父親は理解できずにいた……。


(ここからネタバレ)

喘息を患っていた母の死と、お手伝いさんのミセス・ポッターの登場で、ナイジェルの生活は大きく変わる。ナイジェルの心境をよそに、料理上手で女性の色香ただようミセス・ポッターにみるみる魅了されていく父。やがて父は、ナイジェルとミセス・ポッターと3人、イギリスの片田舎で新しい生活をスタートしようと考え、実行に移す。

父の関心を引くため、ナイジェルは学校の調理実習で料理の腕を磨く。ナイジェルの料理の腕に危機感を覚えたミセス・ポッターは、彼をキッチンに近づけまいと最新の注意を払った。

地元のパブの厨房でアルバイトをしながら、ナイジェルは料理の可能性と性の目覚めを知る。
やがて父が(間接的にミセス・ポッターの手による過食が原因で)亡くなると、ナイジェルは家を飛び出し、ロンドンに赴く……。

(ここまでネタバレ)


イギリスの料理研究家でフードジャーナリストのナイジェル・スレイターの半生(料理研究科になるまでの道のり)を映画化した作品。

映像がとにかく、きらきらしていた。
ナイジェルが料理の魅力に取りつかれていく過程が、非常によくわかる。

涙あり、笑いあり。
シリアスな展開の中にもくすっと笑えるエピソードが盛り込まれているのは、イギリス流なのでしょうか。


タイトルの「Toast」。

料理が苦手な母が調理に失敗するたびに、「そうね、今日はトーストにしましょう」というのだけれど、この「こんがり焼けたトーストにバター」という組み合わせが、ひとつの「幸せ」を体現している。幼年期の幸せ、そして現在へと続く旅路の出発点。


観ていて清々しい気持ちになる映画でした。

かれんだー

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ドイツ生まれ、ドイツ育ちの「なんとなく日本人」。根っからのラインラントっこ。

日本の大学院で現代ドイツ文学を勉強中。ただいま、ドイツにて「しゅっちょう」修行の旅の途中。今やすっかりメクレンブルクの空と大地と海に心を奪われています。
夢は、日本とドイツをつなぐ「ことばや」さんになること。

深刻になりすぎず、でも真剣に。
こつこつ、しっかり、マイペース。がんばりすぎない程度にがんばります。

2010年4月-9月までロストック(メクレンブルク・フォアポンメルン州)、10月-2011年3月までベルリンに滞在。再度ドイツに留学することが、今後の目標のひとつ。

ぽつぽつと、不定期的に過去の日記を埋めていきます。


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